余白の季節

12月、嘘みたいだけどもう今年の最後の月。
この季節は、お風呂から出るとき、布団から出るとき、このふたつに特に気を揉む。
だけどこの季節、自然の空気はいちだんと透き通っていておいしい。
息を吸い込むと肺まで透き通りそうで、風に吹かれて鼻が冷たくなっていることすら嬉しくおもえてくる。

この間、早起きして山に登るはずだったのだけど、どうも調子が出なくて、車で行ける高原に連れて行ってもらった。
高ボッチ高原。

山に向かっていくにつれ道沿いに霜が降りている。木々は葉を落とし、茶色くなった山はなんだか可愛い。
駐車場に降り立つと、おもいっきりに北アルプスが目に飛び込んできた。
乗鞍から白馬の方まで、惜しげもなく。
美しすぎる。
山肌には雪や氷がつき、夏の力強いかんじから、すっかり冬顔にその表情をかえていた。

少し歩き、諏訪湖や八ヶ岳、富士山を臨む。
壮大すぎて、ぽかんとした。

小さな看板に控えめに、日本一のシャッタースポットとかいてあったのだけど、いったいどこのことだったのかはわからなかった。
目白押し過ぎるし。

霜柱を踏みしめる。
ざくりと足裏に冬の訪れをかんじる。
こんなに素敵なことってあるのだろうか。


長野では野沢菜を漬けている人をよくみかける。野沢菜が美味しくなる頃には、樽に手を入れると痺れるほど寒くなるだろう。
あのツンとした冷たさが、すこし恋しい。

今年、心にぽかんと考える余白ができた。
すこしずつ、ほんのすこしずつ、決意と興味で余白の隙間を埋めている。

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