世界のてっぺん、への道
11月18日
エベレストB.C/5364m
カラパタール/5545m
ベッドから落ちて目が覚めた。朝から可愛くない。体がカチカチに冷えている。窓が凍り、ウェットティッシュが凍り、ステンレスボトルの水まで凍っている。周りがあまりに凍り付いているのでかえって冷静に行動した。
今日はロブチェからゴラクシェプという村に移動。思ったより早く着けたので1日でベースキャンプとカラパタール、どっちも行くことに。お昼を食べて出発。したは良かったものの、30分もせずメインのお客さんとガイドさんが引き返してしまう。おじいちゃんなのだ。チュクン・リにも登れなかったので、カラパタールだけは登らせたいとガイドさんが判断して相談した様子。まさかのここで1人。
はーい、とか言って歩き始めたが、よく考えると道を知らない。なぜが人にも会わない。
仕方がないので足跡を見て進みだす。こんなに沢山今まで人が通ったから大丈夫なのだよ!と自分を勇気付ける。雪崩れているし、氷河がすごい音を立て崩れている。◯と△の歌を小さく歌いながら歩く。(楽しい歌なのだよ)
2時間程だろうか。岩と砂のガタボコの道を進むとベースキャンプに到着。じわじわと高さに慣れたのか、特にしんどさもなく歩いていたら着いた。
そして気がつくと立っているのは氷河の上。
めいっぱいエベレストの聳えるほうに近寄る。ベースキャンプからエベレスト自体は望めないが、ここが、世界のてっぺんへのスタート地点になる。
エベレストへ登るクライマーたちはここで1か月程住み、高度順応する。そしてクライミングシェルパさんたちは夜な夜な寒い時間に道を作るらしい。危険な作業だ。
それにしても、氷河の上でキャンプ。眠れるのだろうか。そんなことを思いながら見上げると雪と氷と岩、そして青い空が何とも美しく思えた。
なんだか夢のようで少し気持ちがふわりとした。
ベースキャンプから戻り、カラパタールへ。でっかなダウンを着込んでまた歩き始める。
夕日をめがけていくので全力の寒さ対策だ。
カメラと水だけをもっていく。
1時間半ほどの登り。
坂道を歩いているとどうも深く考え事をしてしまう。それ以外の時は、お洒落したいなー、寒いなー、長風呂したいなー、空青いなー、そんなんである。
うだうだ歩いていると、なんとか上までたどり着いた。
風が冷たい。落っこちたら死んじゃう。
ここからはエベレストがよくみえる。といっても全部、ではないのだが。
しばらくすると空の色が変わりはじめた。
そして山にかかる光も黄色から橙色から朱色、、とじわじわその姿を変えていく。
夕日に染まる山々は何度見てもどこか神々しく、息を飲む。
ずっと続いて欲しいような瞬間だけれど、それは叶わない。終わって、またゆっくり明日が始まるのだろう。
この繰り返しの中にきっと幾通りもの話がある。変な気持ちだ。
山が焼けた後、5分と続かない景色。この色で止まって、変わらないでほしいなんて思うが、じんわり終わっていくから美しさが増すのだろう。儚いと美しいって悲しい程重なると思う時がある。
空は光の色。
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